餌が欲しいと、甘えてくる猫。ついつい、可愛さあまりに、おやつをあげすぎて、気がついたらふっくらとした体型になっていたという経験があるのではないでしょうか。我が家の猫も、心配するぐらい太っていた時期がありました。
猫も人間と同じで、許容範囲の体重よりオーバーしてしまうと、生活習慣病を引き起こすことがあります。「大事な飼い猫の健康を守るのは、飼い主の役割」と思い、我が家の猫も、ダイエットを実行しました。
ダイエットのための運動の時間の確保が難しかった、我が家の猫。そこで、もう一つのダイエットの手段である、キャットフードの見直しを実践しました。
キャットフードを変えるだけで、ダイエットが出来るのかなと、疑問を持つ方がいるかもしれません。しかし、猫が太る理由がわかると、キャットフードを見直すことが、大切なことだと分かると思います。我が家の猫も、徐々に理想の体型に戻すことができました。
猫の運動する時間の確保が、難しい飼い主さんが多いと思います。猫がふっくらしてきたとき、どのように対応すればよいか、猫が太る理由とキャットフードの見直しについて紹介したいと思います。
猫の理想体重・体型とは?

猫の理想体重
猫の理想体重は、個体差や種類によって異なりますが、標準的なサイズの目安があります。猫は、1歳で成猫になり、成長が止まります。成猫以降の理想体重は、生後12ヶ月の体重であると言われています。
- 生後0週:約100g前後
- 生後1週間:約150~200g
- 生後1カ月:約400~500g
- 生後3カ月:約1.0~1.5kg
- 生後12カ月:約3.0~5.0kg
肥満であると判断する体重の目安
猫の体重が、年齢に対する理想体重より、15~20%以上である場合、肥満であると判断します。しかし、理想体重は、標準的なサイズの猫に適応されますので、猫の種類の理想体重を把握しておくことが大切です。
我が家の猫はスコティッシュフォールドですが、現在8ヵ月の3kgの女の子。スコティッシュフォールドの標準体重を調べると、3kg〜3.5kg程度で、ちょうどいいということになります。
猫の肥満度判断「ボディコンディションスコア(BCS)」

画像出典:飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~,環境省
年齢や体重のみで、肥満であるか異なるか、判断に迷うことがあります。そのような場合は、猫の体に触れたり観察することで、肥満度を判断する「ボディコンディションスコア」を用います。
痩せから肥満まで、5段階に細かく観察事項が記載されていますので、実用的な肥満度のチェック方法だと思います。猫を撫でるついでに、肥満度をチェックしてみてはいかがでしょうか。
現在の猫は太りやすい?

今と昔の猫を取り巻く環境の違いが原因?
数十年前と比べて、ふっくらした猫を見かけることが多くなっていませんか。また、特定の観光地以外は、路地を練り歩く猫を見なくなったのではないでしょうか。野良猫をあまり見かけなくなりましたし、自由に外と家の中を出入りする猫も少なくなりました。
ここ数年で、望まない妊娠を防ぐために、猫の室内飼いが推奨されるようになりました。また、日中外にいる猫も、リードをつけているのをみかけることが多くなりました。
猫とともに暮らす、人間の生活スタイルが変わり、猫が自由に行き来する空間が極端に少なくなってきています。そんな環境の中、猫が太りやすくなる原因が増えてきました。
- 望まない妊娠を防止するために避妊手術をする
- 家の中だけの行動範囲で運動不足になりがち
- 猫の餌やりのスタイルとして置き餌が増えてきた
上記3点は、数十年前には話題にすら登ることがなかったでしょう。しかし、今は、普段から耳にする事柄であると思います。
「望まない妊娠を防止するために避妊手術をする」ことは、オス・メス問わず、ホルモンバランスが崩れる可能性があるといわれています。
手術の後、今まで通りの餌を与えていると、太ることがあるので要注意です。
我が家の猫も、避妊手術をした後、ふっくらしてきました。ホルモンバランスが崩れると、今までと同じ量のキャットフードを与えていると、太るのだなと実感しました。
「家の中だけの行動範囲で運動不足になりがち」ということは、人間の運動不足と一緒ですね。
また、外を自由に動き回れたころは、屋根や木に登ったりするなど、高い場所で遊ぶ機会があったので、消費カロリーが多かったと言われています。
我が家の猫も、屋内飼いです。外で自由に遊ばせたことがありません。
分譲住宅地に住んでいるため、地域の決まり事として、ペットは放し飼いにしないことになっています。猫が自由に動き回れる空間は、家の中だけです。
猫が太り始めた頃、自宅で運動不足を解消するために、キャットタワーを用意しました。しかし、太った体で、キャットタワーに登って遊ぶことは難しかったようです。猫のダイエットに運動量を増やす対策だけでは、うまくいかないなと実感しました。
「猫の餌やりのスタイルとして置き餌が増えてきた」ことは、日中は仕事に出かける飼い主さんが多くなり、日中は置き餌をするスタイルとなったと言うことです。
置き餌での食事は、猫はダラダラ好きなだけ餌を食べることが出来るので、過食になりやすいです。
我が家も、昼間は誰も自宅にいないので、昔は置き餌でキャットフードを与えていました。思い出すと、猫がダラダラ食べ続けることができたので、過食になっていたのだと思います。
猫が太りやすい原因を一挙に解決!餌を変えよう!
猫が太りやすくなる原因を変えるために、共通していることがあります。皆さん、お気づきなのではないでしょうか。
猫は、「食べ過ぎないように気をつける」、「太ってきたからご飯を遠慮する」と、自らをコントロールすることは出来ません。また、トレーニングジムで汗を流したり、長時間ウォーキングするなんて出来ません。
現代の人間の生活スタイルに合わせた、「猫が太りやすくなる原因を変えるために共通していること」は、「食事内容を変えること」です。
ホルモンバランスが崩れた猫に対して、以前と変わらない餌を与えると太る可能性があるなら、餌を変えてみるということが必要になります。
また、運動不足による体重増加に関しても、消費カロリーの高い餌に変えるという方法があります。もちろん、運動をすることに関して、問題のない猫であれば、十分に運動の時間をとることも大切です。
置き餌に関しては、だらだら食べ続ける猫が、満腹感を得られる餌に変えてみるという方法があります。
猫が太りやすい原因を変える=餌を変えてみる
と、いうことです。
よいキャットフードとは?

猫のことを想う餌の考えかた
あたり前のことかもしれませんが、猫の体は猫の餌で出来ています。自分で餌を探さない限り、飼い主から与えられた餌で、猫の体は成り立っています。眼も、筋肉も、関節も、全て食べたものから成り立っているということです。
大事な猫のことを想えば、良質なキャットフードで、できるだけ害のないものを選びたいと思うのは、どの飼い主さんも同じです。健康に暮らして欲しいと、皆が願っています。
また、猫は人間と同じように、食べ物に関してグルメ志向であると言われています。猫もそれぞれ好みがあり、味や食感、匂いなどでキャットフードの食いつきが異なってきます。猫が喜んで食べるキャットフードを選びたいですよね。
どのようなキャットフードが良質で、安全なものであるか見極めることが、飼い主さんの使命となります。見極めに困らないように、よいキャットフードの条件をご紹介していきたいと思います。
よいキャットフードの条件とは?
よいと言われるキャットフードの条件は様々です。しかし、共通して言えることは、「安心・安全・安定」であると考えています。
「安心」については、飼い主さんが心から信頼しているキャットフードを、猫に与えることが出来るということです。「安心」は、「信頼」と言い換えることも出来ますね。
「安全」については、「どのような原材料を使っているのか」、「猫にとって有害なものは入っていないか」などを知ることが出来るということです。「安心」は、「不安がない」と言い換えることが出来ると思います。
「安定」については、食いつきが安定していると言うことです。また、あるときはキャットフード、別の日はその他のフードを与えるという食事は、猫の餌やりとして一貫性がないですね。いつも同じものを安定して与えることが出来るということも、大切な条件です。
「安心・安全・安定」の条件を満たすキャットフードの選び方
数え切れないほど、多くのキャットフードが販売されていますが、「安心・安全・安定」をキーワードに、キャットフードの選び方のポイントをご紹介します。
良質なタンパク質から作られている
キャットフードにおける良質なタンパク質というのは、鶏・ターキー・サーモン・ニシンなどです。原材料を確かめてみましょう。加工肉などではなく、原材料名にしっかりと名前が書いてあるものがよいでしょう。
質の悪い原材料が入っていない
原材料名に、はっきりと名前が書いていないキャットフードがあります。ミールやミートとだけ書かれたものもあります。いわゆる、人間が口に出来ないような状態の肉などから作られているキャットフードです。
どのような肉が、どのような環境で加工されているか、わかりにくいという点が不安材料になると思います。
猫に有害な添加物が入っていない
添加物が全く入っていないキャットフードは希です。特に、長期保存できるドライフードは、保存料などが必要になってきます。人工添加物を使用していないキャットフード選びも大切なポイントであると思います。
賞味期限が長すぎないもの
賞味期限が長すぎるキャットフードは、保存料や酸化防止剤、防腐剤を多く使用している場合があります。猫の体にとって、あまりよくないものですので、賞味期限が長すぎるキャットフードを避けることもポイントであると言えます。
外国産
国内産が安全のように感じますが、ペットフードに関して言えば、一概に安全とは言えません。日本では、ペットフードは「食品」と位置づけられていないため、「食品」に用いることが出来ない添加物を使用することが出来ます。
反対に、外国産のキャットフードは、日本より安全基準が高いと言われています。栄養基準やラベルなどのペットフードに関するガイドラインの整備が進んでおり、安全性を考慮すると外国産を選択することも重要です。
安すぎるものは慎重に
キャットフードにかかる金額は決して安いものではありません。しかし、安すぎるものは、賞味期限が長すぎたり、添加物を多く用いているキャットフードの場合があり、安全性が高いとは言えません。
極端に金額が安すぎるキャットフードを手にとるとき、しっかりラベルをみて、表示されている原材料や賞味期限などを確かめてください。
ダイエットが必要な猫のキャットフード選びのポイント

よいキャットフードの条件に合わせて、ダイエットが必要な猫に対するキャットフードの選び方のポイントをご紹介します。
タンパク質が30%以上のものを選ぶ
ペットフード公正取引委員会の基準では、たんぱく質の栄養基準値は、子猫は最小値27%、成猫は最小値23%、シニア猫は最小値18%としています。ダイエット用にキャットフードを選ぶときのタンパク質は30%以上ものを目安に探してみてください。
タンパク質は、猫の筋肉量の維持に、とても大切な栄養素です。タンパク質量の割合が多いキャットフードを与えると、筋肉量が増え、新陳代謝がよくなると考えられています。
適度な脂質が含まれるキャットフードを選ぶ
ダイエット用のキャットフードとして、低カロリーで低脂質ものがありますが、食べても満腹感が得られないので、かえって逆効果になる場合があります。ダイエットに関して、キャットフードは高タンパク・高脂質のものを選んで、満腹感を得られやすい状態にすることが大切です。満腹感が得られやすいと、過食を予防することが可能になります。
餌やりの方法が「置き餌」の場合、飼い主が見ていないところでの食事となるので、食べ過ぎを防止出来ることは、とても大切なポイントだと思います。
穀物が少ない、もしくは全く入っていないキャットフードを選ぶ
猫は本来、肉食の動物で、あまり穀物を食べることはありません。穀物は、米やトウモロコシを指しますが、これらは多く取り過ぎることが脂肪蓄積の原因となります。ダイエットが必要な猫の場合は、穀物は控える方が望ましいです。
また、最近では、全く穀物が入っていない「グレインフリー」のキャットフードも販売されています。猫は炭水化物が全く必要ないという訳ではありません。しかし、脂肪蓄積を防止するために、穀物が少ないキャットフードを選ぶことが大切です。
ダイエット用キャットフードへの移行

今までのキャットフードから、ダイエット用のキャットフードへ切り替えをするとき、どのようなことに注意すればよいか、紹介していきます。
必要なカロリー量とキャットフードの量を計算しよう
ダイエットを行うときの、一日のカロリー量の計算を紹介します。
- 安静時に必要とするエネルギー量(RER):30×猫の体重+70
- 1日に必要なエネルギー要求量(DER):(RER)×(猫の状況数値)
- 1日の摂取カロリー:体重×(70~80kcal)
- 1日の食事の適正量:(DER)÷(キャットフードの100gあたりのkcal)×100
*猫の状況数値:肥満傾向(1.0)、減量期(0.8)
ダイエット期の猫では、摂取カロリーを計算します。DERと比較して、摂取カロリーが多いと判断される場合は、今まで通りのキャットフードの量を減らすより、ダイエット用のキャットフードに切り替えることをおすすめします。
- (PER)30×6+70=250kcal
- (DER)250×0.8=200kcal
- (摂取カロリー)6×75=450kcal
- (一日の食事の適正量)200÷400×100=50g
- ダイエット期の体重6kgの猫の一日の食事の適正量は「50g」
- 摂取カロリーの計算では体重に掛ける数値70~80の中間「75」を用いた
- 100gあたり400kcalのキャットフードを用いることを想定した計算
時間をかけてキャットフードを変更しよう
今までのキャットフートから、いっぺんにダイエット用のキャットフードに変更しません。1週間から10日間ぐらいかけて、今までのキャットフードに少量ずつ混ぜて、ゆっくり慣れさせます。味や匂い、食感などに慣れてもらう期間ということです。
全量ダイエット用のキャットフードに切り替えることが出来るまで、焦らずに見守ってください。
食事の時間を決めて、見守りをしよう
ダイエット用のキャットフードに切り替えるとき、可能であれば「朝・昼・晩」もしくは「朝・晩・就寝前」という風に、時間を決めて与えることをおすすめします。
今まで、置き餌でキャットフードを与えている飼い主さんにとって、時間を決めて餌を与えることは、大変だと思います。
しかし、ダイエット用のキャットフードへ切り替えるとき、猫がどのような行動を示すか観察することが大切です。
迷わず食べてくれるのか、食いつきは普段と同じであるか、今までのキャットフードのみを選んで食べていないか、などを観察していきます。また、食後に食べたものを嘔吐しないか、下痢はしていないか、などの観察も大切です。
キャットフードの移行が難しいとき、どうしたらいいの?
キャットフード移行し始めると、急に食べなくなる「ハンガーストライキ」という状態に陥ることがあります。しかし、ここで昔のキャットフードに戻すと、「嫌いなものを食べなければ好きなご飯を出してくれる」と、猫が勘違いしてしまいます。
ここは、飼い主さんも我慢の見せ所です。私も、かなり困りましたが、猫のためと思って我慢しました。そうすると、自然に猫はお腹が空いて、しぶしぶ食べ始めてくれました。
しかし、嘔吐や下痢症状が出てきた猫の場合、獣医に相談することをおすすめします。キャットフードとの相性が悪いだけでなく、アレルギー反応の場合があります。どのようなキャットフードに移行している最中であるか、相談してみてください。
まとめ

現代社会における猫の太る原因と、餌でダイエットができる可能性について紹介しました。
現代社会で猫が太る理由は、以下の3点と考えられています。
- 望まない妊娠を防止するために避妊手術をする
- 家の中だけの行動範囲で運動不足になりがち
- 猫の餌やりのスタイルとして置き餌が増えてきた
上記のような3点を一気に解消する方法は、ただ一つ。
- キャットフードの見直し
です。
猫がふっくらしてきたとき、思いだして欲しいなと思います。また、ダイエット用のキャットフードの移行をおすすめしましたが、移行するときは、以下の3点を実践してみてください。
- カロリー量とキャットフードの量を計算する
- 時間をかけてキャットフードを変更する
- 時間を決めて、見守りをする
私たち飼い主は、限られた環境の中で猫の健康を守り、お互いが幸せに過ごすことが大切だと考えています。猫のダイエットに関しても、出来ることから始めるためには、キャットフードを見直してみてはいかかでしょうか。
