ご自宅で、二匹以上猫を飼われている方は、猫同士で仲良さそうにニャーニャーお話しするように鳴いているのを見かけたりしませんか。
又は外で野良猫が、いわゆる猫会議をするように鳴いているのを見たことはありますか。
実は猫語は存在していて、人間に内緒の話でもしているのかな。なんて考えたりしますよね。
動画なんかも、調べるといくつも出てきます。例えば、
「腹減ったな」
「そうだな、でも今ママがご飯作ってくれてるから」
「遅いなあ」
「とりあえず耳かゆいからかいてくれないかな」
「えーしょうがないな」
本当に会話しているようで癒されますよね。アフレコして遊ぶのも楽しいですが、本当に会話しているのかは気になるところ。
人間のように言葉を話すわけでも、表情豊かに感情を表すこともない猫がどのようにコミュニケーションを取っているのか。そんな猫の不思議に迫りたいと思います。
猫の習性、特性についても合わせて、具体的に紹介していきますね。
猫同士の会話とは

猫は人間のように多くの言葉を使っていませんが、その代わり様々な感覚を活用して自分の感情や思いを表現することでコミュニケーションを取っています。
- 嗅覚
- 聴覚
- 視覚
- 触覚
猫同士で『鳴き声』での会話は、あまり重要視されていません。
声よりもコミュニケーションツールとして優先されるものは『匂いや動き』です。
では、具体的にどのような手段でコミュニケーションを取っているのか、ご紹介していきますね。
鼻キス
猫同士が鼻をくっつけて、まるでキスをしているかのような光景を見たことがありませんか。鼻をくっつけて信頼の気持ちを表現しているのです。
初めて見る猫や物に、顔だけを伸ばして匂いを嗅ぎます。初めはやはり警戒しているので、身体はすぐに逃げられる体制を取っています。
相手の匂いを嗅いで確かめているのと同時に、自分の匂いも嗅いでもらって「危害を与える気はないですよ」、と相手に伝えているとても重要なコミュニケーション方法です。
お尻のニオイを嗅ぎ合う
猫にとってお尻を見せるという事は、相手に背中を見せるという事です。
動物にとってそれは、相手から襲われるかもしれない危険な行為です。そんな危険があるにもかかわらず、お尻を見せるという事は信頼をしている証です。
さらには、お尻の近くにある『臭腺』という穴から出ている、自分の分泌液の匂いを嗅がせています。するとその後、口を開けてボーっとするような様子で一瞬止まっているような仕草をすることがあります。
「臭すぎー」と驚いて放心状態になっているように見えますが、これはフレーメン反応と言って、口と鼻の両方から匂いを取り入れている様子だそうです。
お互いの身体をこすりつける
猫同士が、すれ違いざまにお互いの身体をこすりつける姿、これもまた見かける方は多いと思います。
猫は縄張り意識や独占欲が高い動物です。ですから、自分の匂いがついてると安心し、知らない匂いがついていると不安になります。
これは、お互いの匂いをつけ合って安心感を得ようとしているのです。
しっぽの動きで感情を表現する
人間から見ても、しっぽの動きは猫が今どんな気持ちなのかわかるコミュニケーションツールになっていますが、もちろん猫同士でもそうです。
嬉しい時やリラックスしているとき、不安なとき。感情によってしっぽの動きは異なります。
詳しく書いてある記事がありますので、こちらも合わせてご覧ください。

グルーミングをし合う
グルーミングとはご存知の通り、毛づくろいの事。
もともとグルーミングをし合うのは、親猫が子猫にするコミュニケーション方法です。
そのため、成猫同士でもお互いにグルーミングをし合っているのであれば、親子くらいの信頼関係があると考えられます。自分では舐めづらい頭の上や耳の後ろなどを舐めます。
じっと見つめる
猫同士の間では正面から目をじっと見つめるのは「やんのか」と喧嘩を売っているのです。
そのため、仲のいい猫同士が取るコミュニケーション方法ではない場合がほとんどです。
もしご自宅で飼い猫たちのそういった場面を見かけたら、喧嘩に発展しないように注意して見ててあげるようにしてくださいね。
猫同士では、耳で聞くよりも、視覚や嗅覚など他の感覚を使ってコミュニケーションを取る方が得意なんですね
では、対人間ではどうなのでしょうか?
実は、猫同士のコミュニケーションの仕方と、飼い主さんに対するコミュニケーションは違うのです。理由も解説していきますね。
人間に対して「ニャー」で伝える理由

先ほどご説明した通り、成猫同士のコミュニケーション方法は、嗅覚を中心に優れた感覚を使って行っていて、声はあまり使わないとご説明しました。
ですが、対人間ではどうでしょう。飼っている猫ちゃんはいつも「ニャーニャー」と訴えるように鳴いているのではないでしょうか。
その理由は、子猫と母猫のコミュニケーション方法にあります。
母猫と子猫の会話
子猫はまだ1匹では生きていくことが難しい状況にいます。
そして、猫は生まれた時から聴力は優れていますので、お互いに声で確認し合っています。
生まれたばかりでまだ目が良く見えていない子猫は「お母さんどこー」と呼び、また母猫もそれに答えて鳴くのです。お互いの居場所を一生懸命に声で確認しているのですね。
飼い主は母猫と同じ存在
そうなのです、飼い主と飼い猫の関係が、母猫と子猫の関係に近いため、飼い主さんに対して「ニャー」と鳴くのです。
そして猫は、人の行動や様子をよく見ていて、飼い主さんがどうしたら自分の欲求に応えてくれるのかをよく把握しています。「ニャー」と鳴いたらいつも反応してくれたり、ごはんをくれたりするのを知っているのです。
そして、鳴き声もいろいろな種類を使い分けています。人間の反応によって声を変えているのです。
人間の言葉は理解しているの?
例えば、「こっちにおいで」と言うと近づいて来たり、悪いことをした時に「こら」と言うと「ニャー」と返事するように鳴くことはありませんか。
予想されている通り猫は、人間が言葉を理解するのと同じようには理解できません。
それなのに猫は、こちらに言うことを理解しているように感じますよね。それは、『言葉』ではなくて『感情の気配』を感じているためです。
飼い主さんが発する言葉というよりも『この音』が出た時に、ごはんの時はこの場所に行けばいい、撫でて欲しい時は見上げて甘えればいいなど、猫はわかっているのです。
人間一人一人見分けられているか
間違いなく出来ます。見た目というよりは、匂いや音によるものが大きいです。猫は聴覚にとても優れているのです。音は、声以外に足音なども含まれますね。
ご飯をくれる人、そうでない人。可愛がってくれる人とそうでない人をきちんと見分けています。
そんな、聴覚にとても優れている猫。
先程も、母猫と子猫が鳴き声での会話が重要となるとご説明しましたが、どの様に使い分けているのかご説明したいと思います。
鳴き声の使い分け

猫の鳴き声はおよそ16~20種類あると言われています。
そのうち、皆さんもよく聞いたことがあるのではないかと思われる鳴き声の例として、8種類をご紹介いたします。
1.「ニャッ」と短く鳴く
朝起きてすぐになでてあげるときや、目が合って名前を呼んであげた時などこういった鳴き方をしませんか。
これは、あいさつや返事をしている意味になります。普段こういった鳴き方をする子は意思疎通が出来ているのですね。
ですが逆に、不安なときに短く鳴くこともあるようです。全く違う意味でも同じ鳴き方をすることもあるので覚えておきたいところですね。
2.「ニャオ」と何か訴えている
「ねえご飯ちょうだい」「おやつが欲しいな」など、なにかしてほしい時にこういった鳴き方をします。
素直に甘えて呼んでいるような声ですね。飼い主さんの事を信頼している証拠なので、飼い主さんも笑顔で答えるなど、対応してあげましょう。
3.「ニャーン」と長く鳴く
今してあげていることの他にも、さらに何か伝えたいことがある時に鳴きます。
飼い主さんに甘えてくる時に聞くことが多いのではないでしょうか。違う場所をなでて欲しいのか、どうしてほしいのかを、鳴き声以外からも読み取ってあげましょう。
4.「カカカッ」「クククッ」と鳴らす
このような鳴き声をクラッキングと呼ばれています。
これは、猫の狩猟本能からくる声で、外にいる鳥を見つけた時や、何か動く獲物を見つけた時に聞くことがあると思います。捕まえたいけど捕まえられないジレンマからくるものですね。体がブルブルと震えることもあります。
5.「ゴロゴロ」と喉を鳴らす
日頃の生活の中でこの声を出すのは、幸せを感じているときです。猫が甘えてきて、なでてあげているときによく聞いたりしませんか。
また反対に、苦しい時にもこのような鳴き方をすることがあります。例えば、病院で治療をしている時など、この鳴き方をしていたらこちらの意味だと考えられます。
6.「ニャーオ」大きく鳴く
大きめの声で、少しいつもと違う鳴き声で、ダミ声のような鳴き方をしていたら、発情期の可能性があります。
オスは約9か月以降、メスは約5か月以降に迎えます。
7.「シャーッ」「フーッ」と牙を出す
これは威嚇をしていると一目でわかりますよね。声と同時に口を開けて逆毛を立てている様子が見られます。
飼い主に対してこのような反応をするときは、猫が自分の方が立場が上だと思っている可能性が高いようです。
又は機嫌が悪く、近づかないでほしい時に見られます。無理に近づいたり触ろうとせずに、そっと見守ってあげましょう。
8.「ニャー」と声は出ないが、鳴く
鳴き声は聞こえず、表情やしぐさだけ鳴いているように感じるときはありませんか。
これは『サイレントニャー』と呼ばれるものです。声が出なくなったのではなく、人間には聞き取れない声域で鳴いているのです。
周波数の違いによるものなので、モスキート音のように、大人には聞き取れなくても子供なら聞こえる場合もあるようです。
この鳴き方をするときは、リラックスしている証拠なので心配はいりません。
ですが、いつも声が出ていない様子だとしたら、原因があるために出ない可能性もあります。そういった場合は病院で診てもらいましょう。
番外編

猫同士の秘密の会話が存在していたら、なんて考える方たことはありませんか。
アプリを使ってみよう
こんな姿を見ると、やはり会話しているのでは、と思いますよね。
猫の「ニャー」はまだまだ未知数で、実は、鳴き声の種類が70~100程あるという獣医師さんもいらっしゃいます。ボディーランゲージも組み合わせて考えると、猫の感情や欲求を読み取ることが不可能ではないと、その獣医師さんは言います。
ぜひとも、猫の感情を読み取れるようになりたいものですね。
こちらで、今現在おすすめのアプリを紹介している記事になりますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。

使用する際は、正しい使い方をしましょう。
乱用したりすると、猫のストレスになってしまうこともありますので、気を付けるようにしてください。
テレパシー説
「実は猫同士でテレパシーを使ってコミュニケーションをしている」と語る猫好きさんもいらっしゃいます。
そのテレパシーは、普通の人間では感じることができず、あくまでも猫同士の間で成り立つコミュニケーション方法で、心と心で伝えることが出来ると言います。
昔から神秘的で不思議な力を持つと言われていた猫。
もし使っているのだとしたら、人間の事をなんて不便な生き物なんだと思っているかもしれないですね。
まとめ

- 猫同士のコミュニケーションは、匂いや行動が重要視されている。
- 匂いと行動が制限される状況下では、鳴き声でもコミュニケーションを取る。
- 人間に対するコミュニケーションの仕方は母猫に対するものと同じで鳴き声を主に使う。
猫同士の会話はおしゃべりではない、という事がわかりました。
しかし、わからないことも多いのもまた事実。まだまだこれから新たに解明されることも今後あるかもしれません。
猫好きの方、飼い主さんは日々猫について知りたいことがたくさんあると思います。こちらで少しでも参考になったら嬉しいです。

