グレインフリーという言葉、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
何のために、どうしてわざわざキャットフードのパッケージに記されているのでしょう。
しかも、グレインフリーの文字が有るかないかで、似たような風味の商品でも、キャットフードの値段がまったく異なりますね。
わたしは、グレインフリーという言葉を目にしたとき、まったくピンときませんでした。
ゆねのために、キャットフードの情報を収集するわたしは、グレインフリーという言葉を見つけたとき、すぐに調べはじめました。
調べていくうちに、グレインフリーのキャットフードは、猫想いのキャットフードだと気づいたのです。
昔に飼っていた、みゅうにも、グレインフリーのキャットフードがあれば、健康的な生活をもっとサポートすることができたんじゃないかと後悔しています。
わたしは皆さんに、グレインフリーのキャットフードをおすすめしたいです。
おすすめしたい理由を知れば、グレインフリー以外のキャットフードを手にすることが少なくなるでしょう。
グレインフリーについて

グレインフリーのキャットフードは、多くのペットフード先進国で、主流になりつつあります。ペットフードに関する安全基準が高く、さまざまな法的整備が進んでいるアメリカや欧州で、グレインフリーがキャットフードの主流であることは納得できますね。
In the US, natural pet-food accounts for about 60% of all food sales in pet retail. The natural segment consists of foods with different accentuations of which grain-free is the most significant category. Sales of grain-free pet-foods at US pet stores increased by 30% in 2013, reaching a 25%-share of all dog and cat food sales. Thus, the grain-free trend goes mainstream in the US. Likewise, grain-free is widespread in the developed markets of Western Europe. (米国では、ペット小売店のフード売上高の約6割をナチュラルペットフードが占めています。ナチュラル分野では様々なアクセントのあるフードで構成されており、その中でもグレインフリーが最も重要なカテゴリーとなっています。米国のペットショップにおけるグレインフリーのペットフードの売上は2013年に30%増加し、ドッグフードとキャットフードの売上全体に占める割合は25%に達しました。このようにグレインフリーのトレンドは アメリカでは主流になっています。 同様に、西ヨーロッパの先進市場でもグレインフリーは普及しています。
出典:Grain-free pet-foods, Anton C. Beynen , Creature Companion 2014; October: 58-59.
グレインフリーってなに?
グレイン(Grain)とは、イネ科の穀物のことで、米・大麦・小麦・トウモロコシ、オーツ麦、ライ麦、ソルガムを指します。
グレイン=穀物と説明しているものもあるようですが、グレインフリーという場合は、米・大麦・小麦・トウモロコシなどのイネ科の穀物が含まれないペットフードと考えましょう。
イネ科の穀物を用いない替わりに、イモ類やマメ類で必要な栄養素を補っているキャットフードが多いです。
そのキャットフード、愛猫に合っている?

皆さんが愛猫のために選んでいるキャットフードは、本当に猫に合っているのでしょうか。
幼い頃に飼っていたみゅうが病気で死んでから、目にするキャットフードは、本当に猫にとって良いものなのか、見きわめようとする癖がつきました。
栄養価が高いキャットフードであることがもちろんなのですが、猫の健康に気づかったものであるかどうかを、キャットフード選びの基準とするようになりました。
そのおかげで、もう一匹の愛猫だったしゅりのキャットフード選びは、自信がつき、しゅりは18歳という寿命まで猫生をまっとうすることができました。
キャットフード選びは、猫が自分ではできません。飼い主であるあなたが行わなければならないことですね。
愛猫のためにキャットフードを時々見直してみることが大切でしょう。
愛猫を大切に想うあなたへ

ここ数年のキャットフードに関するトレンドは、「家族化・高齢化・健康志向」の3つのキーワードと言われています。
愛猫を大切な家族の一員と考える傾向にあるので、猫の食事を「餌」として考えるのではなく、「ご飯」として考えることが象徴的でしょう。
また、愛猫家の皆さんのおかげで、猫の健康を思う生活スタイルやキャットフード選びが広まり、猫の寿命が延びていますね。
その影響もあって、キャットフードは栄養価や健康志向の高いプレミアムフードと、安価で質より量を考えるようなキャットフードと、大まかに2つの品質に分かれているのではないでしょうか。
1)猫の体を想うこと
どんなキャットフードが、猫に良いか考えるとき、猫の体や猫の食事に関する特徴を押さえておくことが大切です。
①猫の体の特徴を知る
キャットフードに関連する、猫の体の特徴は、以下の3点です。
- 肉食特有の獲物を捕らえて噛み切る強い歯を持つ
- 猫の唾液にはアミラーゼが含まれない(デンプンの消化が口ではできない)
- 腸が短く穀物を消化しにくい(腸の長さは猫の身長の4倍、イヌは6倍)

肉食動物の特徴である鋭い歯を持ち、口の中の唾液には穀物を消化するアミラーゼが含まれません。また、腸も短く穀物の消化が苦手です。穀物の消化が苦手な、完全肉食動物という食性にあった体であることが特徴です。
②猫本来の栄養特性を知る
猫本来の栄養特性は、以下の2点でしょう。
- 猫は完全な肉食動物である
- たんぱく質要求量は犬よりも多い
猫のたんぱく質要求量は、体重1kgあたり3~5gです。犬のタンパク質要求量の、約2倍は必要です。また、1,000kcalの食餌に含まれるたんぱく質の推奨量も、人間や犬より多いことがわかっています。

出典:飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~
2)猫にあったキャットフード選びの考え方
近年、さまざまなキャットフードに関連する実験の結果が報告されています。実験結果の多くは、猫の体の特徴や栄養特性に関連しています。
実験結果を踏まえると、猫の体の特徴や栄養特性に合わせたキャットフード選びが重要であることがわかります。
①猫の体の特徴や栄養特性に合わせること
猫の歯の形状や、腸が比較的短いため穀物を消化しにくいこと、本来の栄養特性である完全肉食動物であることを考えると、動物性たんぱく質を多く用いたキャットフードが好ましいでしょう。
事実、さまざまなキャットフードの実験で高たんぱく食と猫の体の関連の報告でも明らかです。たんぱく質含量を高めると、便秘が解消されたり、水を飲む量が増えるため、尿の量も増えるという結果が出ています。
②猫&飼い主想いのキャットフードの存在
猫の体を想ってつくられたキャットフードは、数多く販売されています。
猫のことを想うがあまり、原材料を調べたり、キャットフードの機能を比べてばかりいると、疲れ切ってしまいますね。
そんな、わたしのような飼い主と猫のためにつくられたキャットフードのコンセプトが「グレインフリー」というものです。
あれもこれも表示や原材料名を見比べるより、「○○○は、猫にとって良いキャットフードの証です」とはっきりわかる方が、キャットフード選びが簡単ですね。
グレインフリーは、猫の体の特徴や栄養特性に基づいてつくられたキャットフードです。どのようなものなのか、一緒に深掘りしていきましょう。
グレインフリーについて深掘りする

グレインフリーは、猫の体の特徴や栄養特性に合わせた優れたキャットフードです。しかし、万能のようなキャットフードに思えるグレインフリーですが、メリット・デメリットがあります。
メリット・デメリットをしっかり学んで、愛猫に与えるか与えないか見きわめてみてくださいね。
1)グレインフリーのメリットは?
グレインフリーが体に良い理由は次の2点です。
- 食物アレルギーのもとが少ない
- 消化器官への負担が少ない
グレインフリーが体に良い理由の2点について深掘りしていきます。以下を読むと、グレインフリーが体に良いとされる特徴がわかるでしょう。
①食物アレルギーのもとが少ない
猫のアレルギーの原因は、ノミ・ダニ・花粉などであると言われています。また、人間と同じように、食物アレルギーをもつ猫もいます。
猫の食物アレルギーの原因は、アレルゲン物質になりやすい小麦やトウモロコシなどのイネ科の穀物です。
グレインフリーは、イネ科の穀物を用いていないので、アレルギー体質の猫の体にとって、負担が少ないキャットフードであると言えますね。
②消化器管への負担が少ない
たんぱく質が多く含まれ、炭水化物が少ないキャットフードは、食べ物の腸内移動がスムーズだという報告があります。
本来、完全肉食の猫は、穀物の消化が不得意です。さらに他の動物より腸も短いため、短距離で苦手な食材を消化することは腸にとって大きな負担です。
グレンフリーのキャットフードは、消化器官への負担が少ないため、猫の体のことを考えたキャットフードであると言えるでしょう。
2)グレインフリーのデメリットは?
- 腎臓への負担が大きい
- 軟便や下痢になりやすい
- キャットフードの値段が高い
①腎臓への負担が大きい
グレインフリーのキャットフードは、高たんぱく質のキャットフードである場合が多いため、たんぱく質を分解するときにでる毒素を体の外に出す役割を担う腎臓の負担が大きくなる場合があります。
②軟便や下痢になりやすい
穀物に含まれる食物繊維は、便を固める効果があります。グレインフリーのキャットフードは、便を固める効果がある穀物が含まれていないため、便が緩くなったり下痢をするといった猫の報告があります。
下痢をするようであれば使用を止めましょう。ただ、グレインフリーのキャットフードは、高品質な高たんぱく質のキャットフードであるため、消化吸収は抜群なので、便秘気味の猫には相性が良いキャットフードと考えることができます。
③キャットフードの値段が高い
穀物はキャットフードの原材料として、低コストで大量生産可能な植物です。穀物を用いない、グレインフリーのキャットフードは、肉や魚が主な原材料となるため、コストが高くなります。
そのため、グレインフリーのキャットフードは、他のキャットフードと比べて、価格が高くなり、安価でキャットフードを購入したい飼い主さんにとってはデメリットであると言えます。

グレインフリーを選んだ方が良い猫の特徴

グレインフリーのキャットフードは、メリット・デメリット両方あります。キャットフード全般的に言えますが、1つのキャットフードで全ての猫の要望をかなえることは難しいものです。
グレインフリーのキャットフードをおすすめしたい猫の特徴を記載していますので、ぜひ確認してみてくださいね。
1)穀物アレルギーの猫
穀物は、猫のアレルギーを引き起こす可能性のあるアレルゲンが含まれています。穀物にアレルギーのある猫は、かゆみや湿疹などの皮ふ症状や下痢や嘔吐などの消化器官症状が出ます。
- 下痢
- 嘔吐
- かゆみ
- かぶれ
- 湿疹
- 脱毛
- だるさ
まず、食物アレルギーかなと思うような症状が出たら、診察をおすすめします。食物アレルギー以外にも、似たような症状を起こす病気があります。自己判断は禁物です。
下痢やかゆみなどの症状が、食物アレルギーによるものであると診断されたら、アレルギーの原因も特定してもらいましょう。
食物アレルギーの原因が、穀物であれば、グレインフリーのキャットフードを与えることをおすすめします。
2)高たんぱく質のキャットフードが必要な猫
グレインフリーのキャットフードは、穀物を使用しないだけでなく、猫の体のことを想った栄養設計のものが多い傾向にあります。特に完全肉食動物である栄養特性を考慮して、グレンフリーのキャットフードは、高たんぱく質な栄養設計です。
そのため、グレインフリーのキャットフードは、穀物アレルギーの猫だけではなく、高たんぱく食が必要な猫にもおすすめです。
高たんぱく食が必要な猫は、子猫などの成長期の猫と母猫です。成長期の子猫や母猫は、体をつくるために多くのたんぱく質が必要です。
また、シニア期の猫は、腎臓に負担をかけないように低たんぱく質のキャットフードをすすめる考えもありますが、体力維持のために高たんぱく食を選ぶ場合があります。シニア期の猫にグレインフリーのキャットフードを与える場合は、獣医に確認してみましょう。
グレインフリーのキャットフードは、年齢や猫種は考慮すべき?

グレインフリーのキャットフードは、全猫種の商品が多いのですが、年齢別の商品もあります。特に、多頭飼いの場合は、全猫種・全年齢対応のグレインフリーのキャットフードをおすすめします。
年齢・時期別 | グレインフリーに関すること |
---|---|
子猫 | 生後6カ月~2歳ぐらいで食物アレルギーの有無がわかる 穀物アレルギーがある猫にはグレインフリーはおすすめ |
成猫 | 穀物アレルギーのある猫にはグレインフリーはおすすめ |
妊娠・授乳期 | 消化のよいキャットフードが望ましいためグレインフリーはおすすめ |
シニア | 腎臓が弱いシニア猫には十分注意 |
猫種別 | グレインフリーに関すること |
---|---|
全猫種 | 全猫種におすすめ |
まとめ
近年、キャットフードでよく目にする「グレインフリー」について取り上げました。
グレイン(Grain)とは、イネ科の穀物のことで、米・大麦・小麦・トウモロコシ、オーツ麦、ライ麦、ソルガムを指します。イネ科の穀物を使用しないキャットフードのことを「グレインフリー」と呼びます。
愛猫のことを想うと、グレインフリーのメリット・デメリットの両方を知った上で、賢くキャットフードを選びたいですね。
- 食物アレルギーのもとが少ない
- 消化器官への負担が少ない
- 腎臓への負担が大きい
- 軟便や下痢になりやすい
- キャットフードの値段が高い
健やかに愛猫が暮らせるように、わたしたち飼い主ができることはしてあげたいですね。その一つがキャットフード選びだと考えています。
愛猫の体に良いキャットフードを選んで、飼い主も安心できるように、これからも発信していきますね。

