あなたの愛猫は、口内炎で悩まされたことはありませんか。
口内炎は、猫のお口トラブルの中で一番多くみられる症状。
わたしたちも口内炎ができることはありますが、人の場合、口内の一部がはれる程度でほとんどが数日で治りますよね。それに比べ、猫の口内炎は、口内の広い範囲に炎症が起きるのが大きな特徴です。
人よりも重症化しやすいため、強い痛みで全く食事ができなくなる猫もいるほど。
食事を食べられないことは、猫にとっては命取り。丸1日~2日程度食事をしないだけで、命の危険があるとも言われているんです。
そうならないためには、食事の時の痛みを和らげ、少しでも食べやすい食事にしてあげることがとても重要です。
今回は、口内炎の猫のための食事についてお伝えしていきます。
口内炎の猫への食事
お話したとおり、猫の食事は命を守る上でとても大切です。
痛みが続くと、「ごはんを食べる=口の中が痛い」という認識ができてしまい、食事の時間になると逃げ出してしまうことも。
フードを柔らかくする
固いドライフードは、患部にダイレクトにぶつかるので痛みを感じやすくなります。
次のような方法で、できるだけフードを柔らかくしましょう。
- ドライフードをぬるま湯でふやかす
- ウェットフードに切り替える
- ウェットフードをフードプロセッサーにかけて液体状に近づける
- ウェットフードにぬるま湯を足してサラッとさせる
ドライフードをふやかすのは難しくありません。ぬるま湯につけて10分ほど置くだけ。
以下の記事で詳しくお伝えしているのでぜひ参考にしてみてくださいね。
ウェットフードは、もちろんそのままでもOK。ただ、とろみや粘り気が強い場合、口の中に残って患部にしみやすいので、ふやかす時の水分量を増やすなどの工夫をして、スルッと飲み込めるようにしましょう。
また、痛みが強いと食事だけでなく水を飲むことも避けるようになります。その対策という意味でも、水分量が多いウェットフードは効果的と言えますね。
以前、亡くなった愛猫しゅりも口内炎になってしまい、食事を食べづらそうな様子であまり食べなくなってしまったんです。
このときは、毎食ごとにドライフードをふやかして、食事量が減らないように気をつけていました。
それでも、少しずつしか食べられないので食事には時間がかかり、きっと痛いんだろうなあと思うと、見ているわたしもすごくつらかったです。
味が濃いフードは避ける
わたしたちもそうですが、塩味など味が濃いフードは患部にしみてしまいます。
市販のキャットフードは、塩分濃度に大きな差がないので大丈夫ですが、いわゆる「おやつ」として与えるキャットフードは気をつけましょう。猫の食いつきをよくするため、味付けを濃くしているものが多いです。
また、愛猫のために手作りでフードを用意している場合も要注意。思っている以上に濃い味付けになっているかもしれません。
くれぐれも薄味を心掛けてくださいね。
食欲を出す工夫をする
痛みで食欲が落ちている場合、次のような工夫で猫の嗅覚を刺激してみましょう。
- ウェットフードを温めて風味を出す
- においの良いふりかけや、お気に入りのおやつを少量トッピングする
ウェットフードは、温めることでにおいが引き立つので、食欲をかき立てる効果が期待できますよ。温めるときは、レンジでチンで大丈夫。ただし温めすぎに注意して、人肌程度の温度に調整してくださいね。
この方法は、口内炎のとき以外にも、しゅりが食欲がない場合によく利用していました。とても食いつきがよくなるのでおすすめですよ。
栄養価が高いフードを選ぶ
痛みで食事がとれない場合、どうしても1日全体の食事量が減ってしまい、十分な栄養がとれなくなります。
少量の食事でも効率よく栄養を取り込むために、できるだけ栄養価の高いフードを与えましょう。
栄養価の高いフードとして
- 子猫用フード
- 介護用フード
これらを利用すると便利です。どちらも高タンパク、高カロリーで栄養価が高いので、少量でも栄養不足を補うことができます。
しゅりには、口内炎で食欲が落ちた時期のほか、高齢で食が細くなった晩年にも介護用フードをあげていました。
いくつか試してみましたが、柔らかいペースト状で、舐めて食べられる以下のフードがしゅりのお気に入りでした。味と食べやすさが、しゅりにマッチしていたみたいです。
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介護用フードは、液体タイプ、粉末タイプ、ペーストタイプなど種類が様々でどれが愛猫に適しているのかわかりづらいかもしれません。
また介護用なので、特定の病気に合わせて栄養素を組み合わせている製品もあり、選ぶフードによって栄養素に偏りが出てしまう危険性も。
一時的な栄養補給として与える場合は問題ないですが、長期に渡って与える場合は、かかりつけの獣医師に相談するようにしてくださいね。
猫の口内炎の治療
ここまで、口内炎のときの食事についてお話してきましたが、口内炎の治療の進み具合が食事に大きく影響します。
そこで、口内炎の治療についても知っておきましょう。
必ず病院へ
猫の口内炎は、自己治癒は難しいため、できるだけ早く病院へ連れていきましょう。
初めは小さな炎症から始まりますが、その段階では飼い主さんが気づけないことがほとんど。愛猫が痛がるなどの症状が表れたころには、かなり悪化している場合が多いんです。
また、口内炎の原因は様々です。
- 細菌やウイルスによるもの
- 何かが原因で口内に傷ができ、それが炎症をおこす
- 病気による免疫力の低下によるもの
もし原因が病気による免疫力低下だった場合、その根本の病気を治す治療も必要です。単なる口内炎と軽視すると、重大な病気を見逃してしまうことになるので注意しましょう。
しゅりが口内炎になってしまったとき、わたしの都合ですぐに病院に連れて行くことができず、結果的に少し悪化させてしまったんです。
痛がるしゅりを見て、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
こんな思いをしないで済むように、できるだけ早めに対応してあげてくださいね。
痛み止めの薬にはリスクもある
口内炎の治療は、口内を清潔にするため歯石を除去し、炎症を抑えるための薬や、痛みを止める薬などを与えます。
その痛み止めとして使用されるのが「ステロイド」
「抗炎症作用」といわれる、炎症を抑える強力な働きにより、患部の痛みを止める効果があります。痛みが無くなれば、猫は元気を取り戻し食欲も回復するので、口内炎の治療に有効とされています。
そうですね。実は、効果が大きい分、副作用もあるため注意が必要なんです。
ステロイドの副作用:
- 過度に食欲が増す(痛みで食べられない猫にとってはつらい)
- 喉が渇き水をたくさん飲む、それにより尿が増える
- 体質によって嘔吐や下痢をする可能性がある
- 繰り返し使用することで効果が無くなってくる
- 長期使用すると、口内の免疫機能が低下する
- 長期使用すると、副腎皮質という腎臓の一部に影響が出る
このうち①~③の症状は、短期使用の場合に見られる副作用。
短期間であれば、命に関わるほどの症状ではないので、口内炎を治すために必要な処置と思えば使用もやむを得ません。
問題は、口内炎が完治せず、長期使用になった場合です。
そもそも口内炎は完治しないケースも多く、ステロイドも根本的な治療ではありません。薬を与えることで一時的に良くなっても、薬を止めるとまた症状が悪化してしまうことも。
こうなると、ステロイドを繰り返し使用することになり、副作用が問題に。ステロイドを使用しても口内炎が治らない場合は、別の治療を検討する必要があります。
幸いしゅりは、このステロイドの注射を1回だけ投与し、他の薬やサプリメントを処方してもらうことで炎症が治まったのですが、やはり下痢の副作用がありました。
あまり食べられないのに下痢をするので、かなり心配でしたが、薬の効果でどんどん食欲が戻ってきたので、なんとか乗り切ることができました。
事前に獣医師さんから副作用について説明があり、心構えができていたので、焦ることなく対処できたように思います。
ただ、口内炎になってから完治するまでは、1ヶ月半くらいかかったんですよ。
ステロイドの長期使用や過剰な投与は副作用の心配がありますが、正しい使用をすれば大きな治療効果が望める良い薬にもなります。獣医師がきちんと状態を見て投薬してくれますので、過度に心配しないでくださいね。信頼できる獣医師としっかりコミュニケーションを取ることが大切ですよ。
抜歯
口内炎が悪化し、薬での治療が難しくなった場合は、抜歯をする方法があります。
抜歯というとネガティブなイメージがつきまといますが、治らない治療を続けることは猫にとって苦痛でしかありません。
抜歯をして痛みや苦痛を取り除いてあげた方が、その後の生活が快適になる可能性が高いのです。
抜歯についてのお話は、以下の記事で詳しくお伝えしています。参考にしてみてくださいね。
口内炎の予防
猫の口内炎は一度発症すると治療が難しい病気。歯石などにより口内環境が悪化すると発症リスクが高まります。
そのため、口内炎にならないための日ごろの口内ケアがとても大切なんです。
みなさんは、愛猫ちゃんに歯みがきをしているでしょうか。
もし歯みがき習慣がない場合、今からでも遅くないので、ぜひやってあげてください。嫌がる猫も多いのですが、口内炎を予防するためには必要不可欠。
わたしはしゅりが口内炎になってしまったこともあり、愛猫ゆねには、毎日歯みがきをするようにしています。
ちょっと大変に思うかもしれませんが、慣れれば大きな負担ではありませんよ。
歯みがきのやり方や、嫌がるときの対処法については、先ほどお伝えした抜歯についての記事でもご紹介しています。合わせてご覧になってみてください。
まとめ
猫の口内炎は、強い痛みから食事ができず、その状態が続くと愛猫がどんどん衰弱してしまいます。
少しでも痛みなく食事ができるよう、次のような工夫をしてみましょう。
- ドライフードをぬるま湯でふやかして柔らかくする
- ウェットフードに切り替える
- ウェットフードをフードプロセッサーにかけて液体状に近づける
- ウェットフードにぬるま湯を足してサラッとさせる
- 味が濃いフードは患部にしみるので避ける
- フードを温めて風味を出したり、トッピングをすることで食欲を出す
- 少量でも効率よく栄養をとれるよう栄養価が高いフードを選ぶ
また、口内炎の治療について理解しておくことも大切です。
- 自己治癒は難しいので必ず病院へ連れて行く
- 痛み止めで使用する「ステロイド」には副作用があることも知っておこう
- 最終的には抜歯をすることで改善が見込める
猫にはとても危険な口内炎。わたしたち飼い主ができることは、口内炎にならないように予防することです。
そのためには、歯みがき習慣を身につけるなど、日ごろのお口のケアが欠かせません。
この記事を読んで、最近愛猫ちゃんのお口をあまり気にしていないな、と思った飼い主さん。ぜひ少しだけ時間をとって、お口の様子を見てあげてくださいね。